配管とは?

配管という言葉は、場面に応じて2通りの意味で用いられます。
配管材料と配管工事です。

 

配管材料

配管材料とは管(パイプ)のことで、円筒状の部材です。
流体(液体や気体)や粉体の移送や、電線を外周の環境から保護するために用います。
配管材料の主な素材は、鋳鉄やスチールなどの金属と、樹脂やコンクリートなどの非金属です。

 

配管工事

配管を加工・接続して、所定の場所に取付けて支持・固定することです。

 

流体と配管の種類

配管内を流れる流体にはさまざまな種類があり、流体の種類によって配管名称が異なります。

液体配管

液体配管は、液体を流体とする配管です。水配管と油配管に分類できます。水配管の流体には、飲料水、雑用水、排水、熱源水などがあります。

水配管の設置で留意する点は、管をできるだけ短くすること、配管の勾配に注意し空気だまりを作らないことです。

設備の構造上の理由などで、どうしても空気だまりが生じてしまう場合は、空気抜き弁を取り付けます。
冬季の注意点として、凍結により配管破損する可能性があります

 

建築物の配管種類

家屋やマンション、店舗、商業施設などの建築設備では、水、湯、排水、通気、蒸気、冷温水、冷却水、冷媒など、さまざまな流体が使用されています。
そのため、配管の材料には、流体の種類や温度、圧力に耐えうる適切なものを選定し、使用する必要があります。
建築設備で使用される配管には、給排水・衛生設備配管、空調設備配管、それ以外の配管の3つがあります。

給排水・衛生設備配管

給排水・衛生設備配管には、給水管、給湯管、排水管、消火管があります。

給水管

給水管は、建物内で使用する上水(飲料水)や雑用水を供給するための配管です。
よく用いられる素材は、合成樹脂ライニング鋼管やステンレス鋼鋼管です。
以前用いられていた素材は、水道用亜鉛めっき鋼管(SGPW:Steel Gas Pipe Water)でした。

ただ、亜鉛の流出による白濁現象や、腐食による赤水の発生・錆こぶによる管の閉そく、継手部の孔食による漏水などが理由で、飲料水用配管としては不適切とされています。

 

給湯管

給湯管は、給湯器や熱源機で熱された湯を、浴槽や台所、洗面台などへ供給するための配管です。
即湯システム(すぐに湯が出る給湯システム)では、循環方式の給湯主管を採用しています。
素材には被覆銅管、ステンレス鋼管、耐熱樹脂管が用いられます。

 

排水管

排水管は、便器や排水器具から出る汚水を、建物外へ排出するための配管です。

 

配管設備の構成

配管設備とは、流体を移送するために必要な部品・機器・装置のことです。
配管の役割は、流体をある場所から他の場所へ移送することであり、管、管継手、弁類、管支持装置、保温塗装などが必要です。
これらをまとめて配管設備といいます。

管継手

管継手は、管と管を結合するための部品です。
流れの方向を変えるだけでなく、管の分岐・合流、管サイズの変更、流れをふさぐなどの役割もあります。

 

弁類

弁は、流体を移動させたり、逆流を防いだり、流れを止めたり、流量を調整したりする機能を備えた装置です。

配管の素材

配管の素材には、合金や樹脂などさまざまな種類があり、素材によって管の名称も異なります。
配管素材を選択するときは、用途に応じ、素材の長所・短所や経済性を考慮する必要があります。

 

ステンレス鋼管(ステンレス鋼鋼管)

ステンレス鋼は、10.5%以上のクロムを含んだ合金鋼です。
ステンレス、ステン、SUS(サス)などと呼ばれることもあります。
金属表面にクロム・鉄合金の不動態皮膜を生成するため、優れた耐食性を示し、耐食材料として広い需要があります。
長所は、炭素鋼よりもさびにくく、強度に優れ、リサイクルが可能な点です。
短所は、高価な点です。
配管用ステンレス鋼管には31種類あり、それぞれに耐食性、耐低温性、耐高温性などの特徴があります。

 

非金属管の種類と特徴

樹脂管

樹脂管は、樹脂を材料・材質とする配管です。
代表的な樹脂管は硬質ポリ塩化ビニル管(塩ビ管)です。
公共の建造物の埋設部分や、一般住宅などにもよく使用されています。
硬質ポリ塩化ビニル管は、広範囲の薬品に対して耐性があります。
酸性土壌による腐食がなく、汚水の酸・アルカリの影響を受けず、硫化しません
軽量・安価で、切断や接続が容易なため、取り扱いやすい材質です。
短所は、紫外線、溶剤、熱、衝撃に弱い点です。
屋外で用いる場合は、耐候性(太陽光による劣化・変質に対する抵抗力)のある素材を選びましょう。
地震対策として、可とう性(柔軟で折れにくい性質)のある伸縮継手などを用いることも必要です。

 

配管の付属品

配管の付属品は、配管継手、弁(バルブ)、配管支持金具の3つに分類することができます。

 

配管継手

配管継手とは、管と管を結合するための部品で、配管系の組み立てには不可欠です。
JIS B 0151 鉄鋼製管継手用語では、配管(パイプ)の接続などに用いる継手と定義されています。
主な役割は、流れの方向転換や分岐、集合、閉そく、管径の変更などです。

継手は、配管設備で腐食が最も多く発生する箇所です。

 

配管継手の種類

配管継手は、用途や形状・材質などにより、多くの種類があります。
継手の使用目的や、配管の種類に応じて、適切な継手を選定する必要があります。
JISには、用途や材質(可鍛鋳鉄、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミ合金、鋳鉄、銅合金、樹脂など)、接続配管の違い(ねじ込み式、差込み溶接式、突合わせ溶接式、フランジ式など)によって、さまざまな管継手の規格があります。

 

弁(バルブ)

弁(バルブ)は、流体を移動させたり、逆流を防いだり、流れを止めたり、流量を調整したりする機能を備えた配管設備です。
管内流体の種類や、温度、圧力、弁の材料などで分類。
バルブの操作方法には、手動式と自動式の2種類があります。
手動操作にはハンドル式、レバー式、ギア式が、自動操作には電気式、空気式があります。

 

配管支持金具

配管支持金具は、配管を建物内の所定の経路や、パイプラック上に支持するための金具で、配管工事には不可欠です。

配管の種類によって、樹脂やゴム・ウレタン付きの支持金具もあり、近年は、耐震に特化した支持金具が注目されています。

配管の素材や使用場所に応じて、適切な支持金具を選定する必要があるのです。

 

吊り配管支持金具

吊り配管支持金具とは、天井から吊り下げられた横走り配管(水平方向に流体を流す配管)を支持するための支持金具です。

配管の接合材・防食剤・支持固定・保温保冷

配管の接合材

接合材は、配管・継手の接合に使用します。

配管の材質や用途に応じて、適切な接合材を選定します。
接合材の選定は、国土交通省が制定した機械設備工事共通仕様書や、公益社団法人日本水道協会(日水協)による規格などに、接着剤の養生時間と接着強度は、メーカーの指示に従います。

ねじ接合材

ねじ接合材は、流体の漏れ防止や腐食防止のため、配管のねじ込み接続部に使用します。
テープシール材、一般用ペーストシール剤・防食用ペーストシール剤などがあります。

 

配管の防食材

土壌に埋設するなど、腐食環境にさらされやすい配管は、防食材による腐食対策が欠かせません。

 

防食テープ

防食テープは、配管の表面に巻き付けて被覆することで、土壌に含まれる水分や微生物などの腐食要因と配管が接触することを防ぐテープです。
巻き付け作業が容易なので、ジョイント部・屈曲部の施工に適しています。
製品によって、低温作業に適しているものやシール性・クッション性に優れるものなどの特徴があります。

 

絶縁テープ

絶縁テープは、配管に巻き付けることで土壌と配管との通電を防ぎ、防食するテープです。
ブチルゴム系を主成分とするものなどがあります。

 

配管の支持固定

配管を支持固定することで、配管の重量を支え、たわみを防止し、管内流体の脈動などによる力を抑えます。
配管内の水抜きや、空気抜きが容易に行えるよう適切な勾配を確保する必要があります。

 

配管の保温保冷

保温保冷とは、熱損失を防ぐという意味です。
断熱材を設置して、暖房による熱や冷房による冷温を室外に逃さないようにします。
配管も同様に、配管内の流体の熱を管外に逃さないように、グラスウール、ロックウールなどの保温保冷材を取り付けます。
これにより、流体の温度変化を抑え、流体の凍結などを防止します。流体の熱の損失を防ぐことで、省エネルギーになります。

配管には、適切な保温保冷工事が必要です。基準になる保温仕様(保温材、外装材、補助材の仕様など)は、国土交通省や市町村が発行する工事共通仕様書などで確認できます。

保温保冷材には、無機多孔質保温材、人造鉱物繊維保温材、発泡プラスチック保温材、金属保温材など、さまざまな種類が規定されています。

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