暮らしを支える「水の循環」

水は、飲み水や炊事・洗濯・風呂・水洗トイレなどの日常生活で使われるほか、農業・工・水力発電など幅広い分野の産業で使われており、私たちの暮らしを支えています

 

日常生活の中で、飲み水や炊事、洗濯、風呂、水洗トイレなどのほか、飲食店や商業施設、オフィスなどで、たくさんの水を「生活用水」として使っています。
日本では、工場などで部品などの洗浄や冷却などのための「工業用水」や、お米をはじめとする各種農作物を育てるための「農業用水」など、様々な目的でたくさんの水が使われているのです。
これらの水は、主に空から降った雨や雪が源となっています。

 

 

どうやって確保しているのか?

毎日使う水の主な源は川の水であり、その大もとは空から降った雨水です。
当然ですけど、雨を降らせるのは海や陸の水が蒸発散して大気中にできた雨雲になります。
そこから地上に降った雨は川となったり、地下水となったりして、やがて海へ戻っていくわけです。
そして海の水は再び大気中に蒸発し、雲をつくって雨を降らせます。
また、地上に降った雨の一部は植物が吸い上げ、葉などから大気中に蒸散して雲の成因の一つになるのですね。
地球の水は、このように昔から循環して、その総量はほとんど変わっていません
その水の循環の中で、主に川から水を利用しているのです。
上流・中流・下流の流域全体で川の水を分け合って、水道用水や農業用水などに利用しています。
また、人間のほか、様々な生き物や植物などのただ、川の水には、人間の体に有害な物質やウイルス、大腸菌などの菌も含まれています。
そこで、浄水場をはじめとする様々な施設をつくるなど、安全に使える水をいつでも得られるようにするために、様々な取組があるのは知っての通りでしょう。

雨を貯える上流の森林が水源となり、水道施設を経て安全な水が届けられます。

  1. ダム:水をいつでも供給できるように、水を貯めておく施設。大雨のときには洪水を防ぎ、渇水のときにも水を使えるように水の量を調節しています。
  2. 取水場:川の水やダムの水(原水)を取り入れて、浄水場へ送る施設です。
  3. 水路:取水した原水を別の川や浄水場などの必要な場所に運びます。
  4. 浄水場:取水した原水に浄水処理を行って、安心して飲める安全でおいしい水道水をつくる施設です。
  5. 配水場:浄水場できれいになった水道水をいったん貯めておく施設です。
  6. 配水管:配水場から各家庭の蛇口につながる給水管へ水道水を運びます。

台所やお風呂、トイレ、洗濯など、私たちが家庭で使った後の水は、再び川に戻り、海へと流れていきます。
ただし、使った後の汚れた水をそのまま川や海に流してしまうと、川や海が汚れ、生き物がすめなくなったり、私たちの健康に悪影響を及ぼしたりします
そこで、川や海のきれいな水を守るために、家庭で使われた後の生活排水は、下水処理施設でキレイな水にしてから、川に戻されるのです。

水資源を守るには

川を流れる水の量が減少したり、渇水が頻発したり、水質が悪化したりする・・・など、水の循環にかかわる様々な問題があります。
その背景には、便利になった私たちの生活や産業活動による水利用の増加、都市化に伴う舗装による雨水の地下浸透の低下、地球温暖化による気候の変化などが原因とされています。
また、水源林のある山村地域では、人口の減少や高齢化が進んで、森林の適切な管理ができなくなくなっていることから森林の涵養機能の低下も危惧されているのです。

※涵養機能:土壌などが降った雨水を貯える機能。

水循環基本法でも「水の利用に当たっては、健全な水循環の配慮に努めること」などとされているように、健全な水循環を守るためには水を利用する一人一人の取組が重要になってくるでしょう。

 

 

健全な水循環のために、できること
節水する
  • 洗濯の回数を減らし、まとめて洗う
  • 食材などを洗うときに水を流したままにしない
  • 歯磨きや洗顔のとき、水を流したままにしない
  • 髪や体を洗うとき、シャワーを流しっぱなしにしない
  • 水洗トイレの大小レバーを使い分ける
  • 風呂の残り湯は洗濯や清掃に利用する
汚れの元となるモノを流さない
  • 食器の油汚れは、紙で油分を拭き取ってから洗う
  • 食器洗いや洗濯の洗剤、シャンプーなどを使いすぎない
  • 排水口には水切りネットをつけて、調理くずを流さない
  • 食べ残し、飲み残しを減らす
地域の川や水源を守る
  • 川や湖にごみを捨てない
  • 地域の水路や川の清掃活動や草刈り活動などに参加する
  • 水源となる森林の間伐ボランティアなどに参加する

家庭の水道の蛇口にくるまで

水道水の元になる場所のことを水源、その水のことを原水といいます。
水源の水は、地上に降り注いだ雨や雪が地下に浸透して集まり、河川や湖沼、地下水になります。
これらの水は浄水場できれいな水になり水道管を通って各家庭に運ばれます。

大都市の水道では、大量の水を確保する必要があるので、ほとんどの水源はダム貯留水や河川水等の表流水に依存しています。

貯水池から採水した水は浄水場へ運ばれ、浄化・消毒をしたうえで上水道へ供給されます。
浄水場から供給された水は上水道を通って配水区域内にある給水所へ運ばれ、ポンプ設備を利用し、給水管を通って各家庭の水道へと流れていきます。
浄水場から家庭に供給されるまでの距離が長く、貯水タンクに水を貯めて供給しなければならない集合住宅などでは雑菌が繁殖しやすく、より多くの塩素を必要とします。
このように、消毒に使われる塩素の量やカルキの濃度には地域差があるわけです。

 

水道水に含まれる気になる成分

  • 塩素
  • 安全な水を各家庭に届けるために塩素を使って消毒します。

  • アルミニウム
  • 浄水の過程でアルミニウムが含まれた薬品を使用するため水道水に混ざりますが、体内に入ったとしてもほとんどがそのまま体外へ排出されます。

  • 以前は水道管の材料として使用されていたものが溶け出して水に混じっていましたが、現在は使用禁止となっています。

  • トリハロメタン
  • 浄水場で塩素殺菌を行うときに発生する物質で強い発がん性が指摘されています。

 

まとめ

  1. 水道水は水源⇒取水塔(取水堰)⇒浄水場⇒給水所⇒一般家庭の水道の蛇口という経路で供給されている。
  2. 日本の水道水は安全性を確保するため、厚生労働省の水道法第4条による水質基準が定められている。
  3. 水道水に含まれる塩素は、水源の状態・季節・浄水場からの水道管の距離によっても塩素濃度が変わる。
  4. 水道水には危険な成分が含まれているといわれているが、人が水道水を生涯飲み続けても人体の健康に影響を与えないよう厳しい水質管理がされている。集合住宅では個人で管理をするには限界があるため、利用者側が浄水器を取り付けるなどして水道水を安全に、おいしく飲む工夫が必要。

飲んでもいい?

水道水は、私たちにとってもっとも身近な水の一つです。
水道水には様々な成分が含まれていて、それによって味の違いが生まれることがあります。
例えば、ミネラル。
水はミネラル(マグネシウムとカルシウム)の含有量によって「硬水」と「軟水」に区別されます。
日本の水道水の多くはミネラルの少ない軟水であって、まろやかで飲みやすいのが特徴です。
また、水はpHの違いによって「酸性」「中性」「アルカリ性」に分けられますが、日本の水道水は水質基準でpHが中性付近(5.8以上8.6以下)になるよう定められています。
一方水道水に不快な味やにおいを与える成分も。
通常の浄水処理で除去しきれなかった不純物や、水道設備の劣化によって生じた汚れなどによって、水道水がおいしくない・・・と感じられてしまうこともあるようです。

 

水道水の安全性

日本の水道水は、水道法に基づいて水質基準が定められています。
水道水として供給されるためには、水質基準に適合するものでなければならないとされています。
日本の水道水は水質基準が厳しく定められており、生涯に渡って飲み続けても健康上問題がないものとされています。
日本の水道水の安全性は、世界的に見ても非常に高いものなのです。
ミネラルウォーターは地下水をくみ上げて処理を施し、容器に詰めたもので、その水質基準は食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準」によって定められています。
水道水は、そのまま飲んでもよいのか?
日本の水道水はそのまま飲み続けても健康上問題のないレベルの水質に保たれています
また、かつてはおいしくないと言われていた水道水でしたが、浄水処理技術の向上により味わいも非常に優れたものになってきました。
実際に東京都などでは、水道水のおいしさをPRするためにペットボトルに詰めたものを配布・販売するなどしています。

ただし原水の汚染がひどい地域や、集合住宅における貯水槽や水道管の劣化が激しい場所などでは、水道水を飲むことに抵抗を感じる方もいるようです。

そこで、煮沸や浄水器の設置など、よりおいしい水道水を飲むための工夫もなされています。

 

浄水

水道水には塩素が含まれています。
塩素は病原菌などを殺菌する力を持っています。
塩素によって、安心して水道水を使うことができるのですね。

水道水中の残留塩素の濃度は、人体に問題がないレベルであると言われています。

一方で、水道水の残留塩素によって「カルキ臭」と呼ばれる独特のにおいが生じることがあります。
水道水を飲用する場合にはもちろん、料理に使う際にもカルキ臭が気になるという方もいるようです。
塩素を除去する方法としては、煮沸する、汲み置きする、レモン汁を入れる、浄水器や整水器を使うなど様々なものが知られています。

ただし塩素を除去した水は雑菌が繁殖しやすくなっていますので、早めに使い切ることをおすすめします。

浄水とは一般的に、適切な処理が行われ飲用に適した状態の水のことを言います。
水道水は、適切な浄水処理が行われた「浄水」です。
この水道水をさらに安心しておいしく楽しむために、浄水器を設置する方も増えています。
浄水器は水道水から残留塩素や不純物を除去するための機器になります。

様々な形状・フィルターの製品があるので浄水能力も大きく異なるため、きちんと確認してから購入することが大切です。

もう一つ、浄水器からさらに一歩進んだ機器として注目を集めているのが、整水器です。
整水器は水道水を浄水し、さらに電気分解します。
これにより、電解水素水・浄水・酸性水の3種類の水を生成でき、様々な場面での使い分けをお楽しみいただくことができます。