ミネラルウォーターと水道水の違い
身近な水の選択肢として真っ先に挙げられるミネラルウォーターと水道水。
ミネラルウォーターと水道水の違いは、安全基準と種類の数です。
水道水とミネラルウォーターでは、安全基準を定める法律が異なります。
そして、水道水の方が安全基準が厳しくなっています。
水道水の安全基準は、水道法で決められています。細菌の有無や成分基準値について51ものチェック項目があり、それら全てをクリアしてようやく水道水として家庭に届けることができるのです。
それに対して、ミネラルウォーターの安全基準となるのは食品衛生法です。
クリアすべきチェック項目は殺菌・除菌工程有りの場合39項目、なしの場合14項目と水道法よりも少なくなっています。
また、一部の基準値が水道法より緩やかに設定されています。
ただし、日本の安全基準は世界でもトップクラスのため、水道水・ミネラルウォーターのどちらも安全な水だといえるでしょう。
必然的に自分の地域の水を利用することになる水道水と違って、ミネラルウォーターは、たくさんの種類から選ぶことができます。
成分や味、硬度や取水する場所など幅広い違いがあります。
ミネラルウォーターは、食品衛生法により「水のみを原料とする清涼飲料水」と定義されたミネラルウォーター類の一種です。
ミネラルウォーター類は、水の成分と人工的な処理の程度によって4つに分類されます。
- ナチュラルウォーター
- ナチュラルミネラルウォーター
- ミネラルウォーター
- ボトルドウォーター
ナチュラルウォーターは、特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿、ろ過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理が施されていない水です。
ミネラル成分が含有されていない場合もあります。
ナチュラルミネラルウォーターはナチュラルウォーターのうち、ミネラル成分が溶け込んでいるものです。
ナチュラルミネラルウォーターのミネラル成分は、地中の鉱物など自然由来のものに限られます。
いわゆる「天然水」に当てはまるのはナチュラルウォーター(ナチュラルミネラルウォーター)だけ。
天然水のミネラル成分を人工的に調整した水、または何種類かのナチュラルミネラルウォーターを混合したものです。
沈殿、ろ過のほかにも、オゾン殺菌や紫外線殺菌、水への空気の混入などの調整が行われる場合があります。
蒸留水・河川の表層水など、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外で飲むことができる水の総称です。
水道水であっても「東京水」のように飲用として市販された場合は、ボトルドウォーターとして取り扱われます。
ミネラルウォーターは硬水と軟水が選べる
添加物の有無や原水の違いのほかに、ミネラルウォーターには硬度の違いもあります。
硬水はカルシウムやマグネシウムを多く含んでいるため硬度が1?あたり120ミリグラム以上と高く、しっかりとした飲みごたえが特徴です。
一方、軟水は硬度が1?あたり120ミリグラム未満で、カルシウムやマグネシウムが少ないため口当たりが軽く飲みやすいといわれています。
水道水にも硬水と軟水はありますが、日本国内の水道水はほとんどが軟水です。
硬水が採取できるのは、兵庫県西宮市の「宮水」など限られた地点だけになっています。
水の味わいを楽しんだり、積極的にミネラル成分を摂取したい方にとっては、ミネラルウォーターがぴったりでしょう。
水道水には消毒のために塩素が加えられています。
安全を保つために必要で人体に影響が出ない量ですが、塩素の臭いが気になるという人にとっては、ミネラルウォーターの方が水道水よりもおいしく感じられるでしょう。
また、ミネラル成分のバランスによってミネラルウォーターの味は変化します。
硬度や原水を比較して自分好みの水を探すことができるのも、水道水にはない良さです。
ミネラルウォーターは塩素臭がないため、水道水よりも料理の味・香りを引き立てます。
さらに、硬水・軟水を使い分けることで料理の風味をより引き立てることができます。
例えば、昆布やかつお節で出汁を取る日本料理には香りや味の邪魔をしない軟水が向いています。
西洋の料理や、肉をおいしく調理したいときには、アクを出してくれる硬水が適しているでしょう。
500?のペットボトル入りミネラルウォーターはだいたい1本100円前後です。
それに対して水道水500?の値段はおよそ0.1円。
つまり、水道水の値段は、ミネラルウォーターの1000分の1程度です。
ペットボトルの製造コストがあるにせよ、水道水の方がミネラルウォーターよりも圧倒的に安いことには変わりありません。
当然、お風呂で仕様するのは水道水です☆彡
水道水は塩素が含まれているため、冷凍庫に入れていても腐る心配がありません。
それどころか、製氷機を塩素消毒して綺麗に保ってくれる効果すらあるのです。
塩素が含まれていないミネラルウォーターの場合、製氷機に放置したままだと雑菌が繁殖してしまうかもしれません。
また、硬度が高いミネラルウォーターの場合、固まったミネラル成分が製氷機のホースを詰まらせてしまう恐れもあります。
服薬は軟水で行うのが無難です。
日本の水道水はほとんどが軟水のため、水道水で飲む場合はあまり硬度を気にする必要はありません。
ミネラルウォーターで服薬する場合は、硬度の低い軟水を選びましょう。
原水の種類
ミネラルウォーター類の原水となる地下水は、下記の7種類です。「鉱泉水」「鉱水」などは飲んだことがある人も多いのではないでしょうか。
浅井戸水 | 浅井戸からポンプ等により取水した地下水 |
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深井戸水 | 深井戸からポンプ等により取水した地下水 |
湧水 | 不圧(自由面)地下水、被圧地下水の区分によることなく自噴している地下水 |
鉱泉水 | 自噴する地下水のうち水温が25℃未満の地下水であり、かつ溶存鉱物質等により特徴付けられる地下水 |
温泉水 | 自噴する地下水のうち水温が25℃以上の地下水、又は温泉第二条に規定される溶存鉱物質等により特徴付けられる地下水のうち飲用適のもの |
伏流水 | 上下を不透水層に挟まれた透水層が河川と交わるとき透水層内に生じる流水 |
鉱水 | ポンプ等により取水した地下水のうち溶存鉱物質等により特徴付けられる地下水 |
日本で製造されるミネラルウォーターは、くみ上げた地下水(原水)を採水、ろ過し、加熱殺菌、あるいはそれと同等の除菌・殺菌処理を施してから容器に詰め、蓋をして出荷します。
ペットボトル入りの水はすべてミネラルウォーター?
日本では、ペットボトルなどの容器に入った水を総称してミネラルウォーターと呼ぶことがあります。
でも、先述したように「飲用水」、「ボトルドウォーター」と表示されているものは地下水や湧水を原水としていないため、厳密には「ミネラルウォーター」とは呼びません。
名前に「ミネラル」という言葉が入っているので、「ミネラルウォーターにはミネラルが多く含まれている」と思っている人も多いかもしれません。
確かに、長い年月をかけて地層中を移動、滞留した地下水には土壌中のミネラルが溶解していると考えられています。中には、豊富な含有ミネラルを売りにしている製品もあります。
しかし、ミネラルウォーターにはミネラルの含有量に基準が設けられているわけではありません。
ミネラルの種類と含有量は製品によって違いがあり、含有量が多い水もあれば、水道水とあまり変わらないものもあります。
ミネラルの種類や量で水を選ぶ場合は、商品ラベルを見て種類や含有量を確認するとよいでしょう。
地下水や湧水には 「天然」や「自然」といった印象があり、実際にそのような名前の商品も存在します。
しかし、先述のとおり、ミネラルウォーター類の品質表示ガイドラインでは、「天然」、「自然」あるいはそれに類似した表示が許されているのは「ナチュラルウォーター」と「ナチュラルミネラルウォーター」の2種類のみ。
水の混合などが行われているミネラルウォーターは「天然水」と表示できません。
軟水と硬水の違い
水は、硬度の違いにより「軟水」と「硬水」に分けられています。
硬度は水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量によって決まります。
軟水は、カルシウムやマグネシウムが少なく硬度が低い水。
クセがなく飲みやすいのが特徴で、コーヒーやお茶、料理などに幅広く使えます。
日本はほとんどの地域の水道水が軟水なので、日本人の多くは軟水を飲み慣れています。
一方、硬水はカルシウムやマグネシウムを多く含んだ硬度の高い水です。
独特の口当たりなので、飲みにくいという人や、体質に合わずお腹の調子が悪くなる・・・という人もいます。
日本では硬水を採水できる場所はごく一部のため、現在日本で販売されている硬水の多くは採水地が外国の輸入品です。